圭秀の修行日記


「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)」

 これは、人間の運命は定まりなく幸不幸は予測できないものだということを例えたことわざです。古代中国の『淮南子(えなんじ)』という書物の中にある故事が由来となっています。思えば、私の大学四年間の自治寮生活における寮歌練習というのは苦痛以外の何物でもありませんでしたが、一介の僧侶となった今、私の読経の声は当時の練習で作られたものといっても過言ではありません。また、大学卒業後、CTやMRIといったレントゲン機器を製造販売する会社で働いていた時には、医者や放射線技師の前でスライドを使いながら新製品のPRをすることがありました。当時は、顧客からの質問にどのように答えてゆこうか、若さも手伝って心臓をバクバクさせながらの毎日でしたが、一介の僧侶となった今、檀家さんの前で法話をする際の話し方の基礎になっているような気が致します。「災いを転じて福となす」今後とも一喜一憂せず、選り好みをせず歩みたいものです。


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